· 

サブの担当弁護士が信頼できない。ボス弁と話せないなら解任できる?

【ご質問】

これ!と思って、委託契約したら、このホームページで書いてあった様に、初回の相談で話したボス弁護士(委託契約した弁護士)が私の担当と思ったら、サブ弁護士がついて、結局ボスとは電話連絡も1週間後のアポしか取れないと言う怠慢な応対でガッカリしました。

 

コミュニケーションが取れないという理由で、解任したいけど大丈夫でしょうか? 成功報酬よこせとか言われそうです。

未だ遺留分請求の内容証明を送っただけで、先方からのアクションもない状態です。着手金勿体無いけど、こんな弁護士と戦いたく無いです。

それとも、そのサブ弁護士とタッグを組むのが良いのでしょうか? 少し頼りない感じですが…弁護士事務所の体制は事務員もしっかりしていて16人弁護士在籍、因みにボス弁護士は70で経験豊富、書籍も沢山執筆されている超ベテラン?です。

 

質問者:悩める子 さん

(木曜日, 22 10月 2020 10:54)

 

 

 

【回答】

「事件を本当に担当しているのは、誰か?」のページでも書いていますが、事務所のボス弁護士に依頼したつもりだったのに、実際に担当するのは他の弁護士にされてしまったという、典型的なケースですね。

 

 

委任契約した弁護士がボスだったということで、委任契約書に押印している受任弁護士の名前もボスになっていると考えてOKでしょうか?

 

その法律事務所の中で、事件を法律的に(正式に)受任している弁護士が誰なのかは、委任契約書の受任者欄を見ます。

(1)ボスのみ、(2)ボスとサブのみ、(3)在席弁護士全員の連名、という3パータンのどれかであることが多いです。

 

 

ご質問者のように、受任者欄が(1)ボス弁護士の名前のみなら、事件の正式な受任者はボスだけです。遠慮なくボスと話すことを求めましょう。

この場合のサブ弁護士は、ボスから給料をもらってボスの指示で動く勤務弁護士(アソシエイト弁護士、いわゆる「イソ弁」)です。

 

ボスが勤務弁護士を自分の手足として使うのは自由です。

ボスがきちんと指導監督してくれていれば、問題ありません。

あるいは、ボスが本当はダメダメでも、サブがきちんとしていれば、それでいいのです。

 

でも、契約上の依頼者であるあなたが、受任者であるボスから直接の説明等を受けたいと求めた場合は、ボス本人が対応すべきですよね。

それすらもしてくれない場合、ボスはもともと自分で仕事をする気がないかもしれず、サブ弁護士に対する指導にも不安が残ってしまいます。

ボスと電話で話せるのがアポを取った上での1週間後だとしたら、今後もボスと直に話をするのはまず無理でしょう。

正式に依頼したはずのボスと全然コミュニケーションが取れなくて不安を感じるなら、解任しても良いと思います。

 

ただ、大きな事務所や顧問先の多いボス弁護士に依頼すると、ボスが自分でできる仕事量には限界がある以上、結果的にサブ任せになるのは割と普通のことです。そのためにボスは「イソ弁」を雇うのです。

なので、おっしゃるとおり着手金がもったいない気もしますので、解任は慎重にしてくださいね。実際に動いてくれているサブ弁護士が信頼できるなら、解任する必要はないと思います。

もちろん、本当は解任したいのに慎重になりすぎて解任の時期が遅くなると、着手金だけでなく報酬の一部を請求される可能性が高まっていきますので、その点もご注意ください。

 

 

そもそも、サブ弁護士が実質的な担当者になるなら、契約時に最初からそう言うべきだと思うのですが、なぜかこの手のトラブルが絶えません。

 

こういうボス弁護士は、大事なところを自分が指導監督すればそれでいいと簡単に思っているのでしょうけど、依頼者からはその様子が見えないので、不安になるのです。

実際の指導監督がどのくらいなされているかは場合によりけりで、依頼者からは分かりません(相手方の弁護士を含む同業者からは、大体分かりますが……)。

少なくとも、依頼者に対する説明は不足してますね。

 

 

 

以下はご質問者のケースとは違うかもしれませんが、ご参考までに。

 

(2)ボスとサブが二人の連名で受任している場合、(1)と同じようにサブが勤務弁護士であるケースと、サブはパートナー弁護士でボスと弁護士費用を分け合って受任しているケースが、両方考えられます。

 

(1)と同じくサブが勤務弁護士の場合でも、(2)では(1)と違って、そのサブ弁護士も、あなたが書面で正式に依頼した二人の弁護士のうちの一人です。契約の時点で、サブ弁護士の名前を契約書で見たはずです。

そのため、サブ弁護士がメインで対応することになっても、契約上の問題はないでしょう。

したがって、実際にサブがきちんと対応してくれているなら、直接ボスと話す機会が少ないという理由で解任するのは、あまりおすすめできません。

それでも、担当のサブが経験不足等で信頼できず、ボスと全然話せないことで不安が消えない場合、弁護士側の説明不足もあり、解任すること自体は可能です。

 

サブが事務所の経費を分担しているパートナー弁護士である場合、給料制の勤務弁護士と違って、ボスの指導と指示で動くのではなく、自分の判断で業務をこなします。

そのため、依頼者が直接ボスと話せるかどうかは、依頼した事件の解決とほとんど関係がないと思われます。

あくまでも、直接対応してくれているサブ弁護士の話しやすさや、依頼した業務の進行全体を見たうえで、解任するかどうかを判断するほうがよいでしょう。

 

 

(3)所属弁護士全員の連名での受任は、弁護士法人では普通のことですし、弁護士法人でなくても、常に全員連名にする扱いの事務所もあります。

どちらかというと、個々の弁護士よりも事務所全体を信頼して依頼することになり、契約上は、連名のどの弁護士が業務をしてもいいことになります。

この場合に、ボスが直接対応してくれないからといっていきなり解任するのは、ダメとは言いませんが、ちょっと気が早いでしょう。

 

ただ、そういう契約だからこそ逆に、実際に担当する弁護士が誰なのかを契約時に明確に伝えておくべきではないか、とも言えます。

 

もし、契約時と話が違っていて、担当弁護士を信頼できないのであれば、まずは担当者の交替からお願いしてみてはどうでしょうか。

 

 

 

どの場合でも、最後は、実際に事件を担当してくれている弁護士の経験や能力の問題です。

依頼者がそれを推し量るには、基本は「話しやすさ」で判断するしかありません。

コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    悩める子 (火曜日, 03 11月 2020 20:25)

    こんにちは!質問のお返事をありがとうございます。感謝致します。
    契約上の受任弁護士はボス弁護士です。サブが同席したのは契約後の打ち合わせの時です。その後メールもサブに行き返事もサブです。大体ボスにメールしても秘書?が応えているのが見え見えです。

    忙しい事務所で実績もあるし、ボスはそれなりに素晴らしい弁護士だと思いますが、鼻高なんですね。簡単に解決出来ると思っている様子が伝わってきました。この位の遺留分じゃ動きたく無いのかと思ってしまいました。やっぱりご商売ですから、それは致し方無いですが、最初から言って欲しかったです。サブは若い女性で話を聞いてくれる人でしたが、私には物足りなく感じました。それにこの事務所に成功報酬払うのがバカバカしくなり、その後解任しました。

    私にとっては、人生で一度きりの大問題です。私の気持ちに寄り添って、一緒に戦う弁護士を見つけます! この人に成功報酬払いたいっていう気持ちになる弁護士さんと戦いたいです。

    このブログの主様もきっと素敵な弁護士さんだと思います。今後の御活躍を心より願っております。
    有難うございました(^^) 感謝を込めて。