都市部と地方で、弁護士に違いはある?

 田舎の弁護士よりも都会の弁護士のほうが優秀なんじゃないか

とか、

どうせなら東京か大阪の弁護士がいい

とか、

銀座の弁護士が一番だって聞いたよ

とかいった声を、ときどき聞きます。

まあ、逆は、あんまり聞きませんね。

 

結論からスパッと書いてしまいたいところなのですが、 一概に否定も肯定もしにくい微妙な問題があります。

上の3つのような噂だけであれば、全部間違いです。それは、はっきりしています。ただ、それではすまないところもあります。

 

都会の弁護士が田舎の弁護士よりも優秀だというのは、幻想です。

おそらく、弁護士の実力分布という意味では、ほぼ変わらないのではないでしょうか。近年話題になっているような、まったく仕事も経験もない弁護士が田舎にいることはないので、その点ではむしろ大都市のほうが怖いくらいです。

東京や大阪がいいとか、銀座がいいとか、馬鹿みたいな話です。

打ち合わせの便を考えれば、弁護士は近いところで探すに越したことはありません。

 

ただし、都会と田舎では、そもそも弁護士の人数が違います。

あなたの必要とする実力を持った弁護士が仮に5人に1人だとして、その地域に弁護士が3人しかいなければ、求める1人には出会えないかもしれません。

少し離れた都会に500人の弁護士がいれば、100人は該当者がいます。

 

では都会が有利じゃないかというと、そうでもありません。

出会いたくない、勘弁してほしいような弁護士も、同じように分布していると考えられるからです。

仮に5人に1人が良くない弁護士だとして、弁護士が3人しかいない田舎なら、誰に頼んでも特に問題がないかもしれません。

しかし、500人の弁護士がいる都会だと、良くない弁護士が100人いるうえに、弁護士の競争も激しいので、そういう弁護士ほど、たくさんの広告の網を張って手ぐすね引いているのです。

どっちがいいとは決められませんよね。

 

田舎で弁護士を探す最大の問題は、選択肢が少なすぎるということです。

能力には問題がなくても、相性が合わないかもしれないし、先に相手方が相談してしまっていることだってあり得ます。

本当に良い弁護士を選ぼうとするなら、ある程度の候補の中から選びたいのが当然です。田舎すぎると、それができません。

 

それから、田舎の場合、個人が法律事務所に出入りするというだけで、人目に気を遣わなければならないこともあります。

近くが便利だとは言っても、近すぎると困るということもあるのです。

 

そうすると、地元の近い事務所が希望に合わない場合や、そもそも近すぎる事務所を避けたい個人的な事件の場合は、やや離れた県庁・裁判所などの所在地付近の都市部で探すといった工夫も必要でしょう。

そうなると、せめて交通の便が良く、家からもあまり遠すぎず、ついでに裁判所にも近いと多少は便利かな、という発想になるだろうと思います。

県庁等の所在地や裁判所の近くに法律事務所が多いのは、そういうところを考えた必然的な結果だと言えます。