土日や夜間の相談が、どうしても必要か?
昼間に仕事を持っている人が法律相談しようとする場合、土日や夜間の相談を希望されることがあります。
弁護士がそれに対応してくれれば、大変便利だと言えます。
それどころか、どうしても土日や夜間しか相談に行く時間が取れない、という切実な状況であれば、それに対応してくれることが絶対条件になるでしょう。
おすすめも何も、それを探すしかないと思います。
というわけで、ここでは、絶対条件ではないけど土日や夜間も対応してくれたら助かるかな、という人を対象に、ちょっと弁護士側の裏事情をご紹介しておきます。
結論として、土日や夜間の相談については、「どうしても」という場合でなければ、あんまりおすすめはできません。
相談しやすいことが大事だとか言っておいて、何だそれは?
って、思いますよね。
理由を簡単に言ってしまうと、現状で土日や夜間の相談に無条件で対応しているのは、仕事の少ない弁護士がほどんとだからです。
単にサービスの良い弁護士だから、とは、言いにくいのです。
なぜでしょうか?
弁護士は、法律相談をしている間、他の仕事ができません。
たとえば、あなたがその弁護士に依頼した場合の「あなたのための仕事」(裁判所に提出する書面を書くとか)だって、あなたとの打ち合わせ中(相談中)には、できません。
打ち合わせが終わった後、どこかで時間を作ってやることになるはずです。それは、いつでしょうか?
ある程度の仕事を抱えている弁護士にとって、平日の昼間は、裁判所に行ったり、事務所や外部での法律相談を受けたり、依頼者と打ち合わせをしたり、相手方と交渉したりして、あっという間に過ぎていきます。
これらは、弁護士一人で自己完結しない、対外的な面のある仕事です。弁護士業も、ほかの一般的な仕事と同様、こうした対外的な仕事は、全部が平日の昼間の時間帯に集中してしまいます。
ところが、昼間の対外的な仕事は、弁護士の仕事の半分でしかありません。
弁護士が抱える最大の問題(仕事)は、裁判所へ行く前に、裁判所に提出するための「そりゃもうたくさんの書面」を作らなければならない、ということです。交渉や証人尋問だって、事前に準備が必要です。
あるいは、刑事事件における警察署での接見も、平日の昼間にはやりにくい仕事です。警察署の接見室が少ないので、一般の方々の接見と重ならないようにするためです(善意でというより、待ち時間が長くなりすぎるから)。
弁護士会の委員会活動をはじめとするプロボノ活動をする場合も、平日の昼間以外の持ち時間を削っています。
したがって、ある程度の仕事を抱えた弁護士であれば、これらのもう半分の仕事をするために、土日や夜間は、どうにも捨てがたいのです。(もちろん、弁護士だって、多少は休みがほしいですし。)
その土日や夜間に、いつでも気軽に相談を入れられるということがどういうことか、ちょっと考えてみてください。
相談に行ける時間がどうしても限られているのであれば、それに対応してくれるかどうかを最優先に考えるしかありません。
そういった体力と熱意を大きな売りにしている弁護士も出てきています。
けれども、そこまで追い込まれていないのに、土日や夜間に対応する弁護士を探してしまうと、選択の幅を大きく狭めてしまいます。