法テラスの「スタッフ弁護士」ってどういう人？

－Ｑ：「法テラスの弁護士」がいると聞いたのですが？

結論：（正確に言うと「法テラスの弁護士」は存在しませんが，）「法テラス法律事務所」に所属して給料をもらっている「スタッフ弁護士」という人たちがいます。

各地の法テラスには，「なんとか（地域の名前）法テラス法律事務所」というのが併設されていて，そこには法テラスの「スタッフ弁護士」という専属の弁護士がいます。スタッフ弁護士は給与制で雇用期間の制限があるため，ほとんどは新人と若手の弁護士なのですが，わずかにシニアクラスの人もいます。

スタッフ弁護士は，「法テラス法律事務所」という名前の法律事務所に所属する弁護士であり，それ以外の（一般の）法律事務所に所属しているその他大勢の弁護士とは，立場が違います。もちろん，偉いとか偉くないとかではなく，法テラスとの契約形態が違うのです。

一般の弁護士は，自分の法律事務所に所属して普通の事件もやりながら，法テラスを利用してお金のない人のために扶助事件や国選事件も扱います。（最近では，普通の事件の仕事がなくて扶助や国選だけで食いつないでいる弁護士もいますが。）

扶助や国選事件を扱う普通の弁護士は，法テラスとの間で，法テラスを利用するための契約を結びます。そのため，法テラスを全く利用しない（契約を結んでいない）弁護士と区別して「契約弁護士」と言います。

ある事件で法テラスを利用するかどうかは，契約弁護士が自由に判断できます。

スタッフ弁護士は，原則としてお金のない人のための扶助事件や国選事件だけを扱い，その代わりに法テラス（の法律事務所）から給料をもらっている弁護士です。法テラス（の法律事務所）に直接雇われているイメージですね。ただし，法テラスはスタッフ弁護士の仕事内容に直接口を出さないことになっています。

スタッフ弁護士は，もともと扶助事件や国選事件しかやらない（法テラス法律事務所には，原則としてそれ以外の仕事は来ない）ので，扶助だから嫌とか国選だから嫌とか言える立場にありません。逆に，お金にならない事件だけをやっていても，一定の給料が保証されています。

そのため，（弁護士としての能力や経験が保証されるわけでは全くありませんが，）他の弁護士が嫌がるようなお金にならない大変な事件でも，きちんと受任してくれる「はず」です。もともと，そういう意欲のある若手をスタッフ弁護士として採用するのだ，というふうに法テラスは宣伝しています。

もちろん，スタッフ弁護士でも変な人はいますよ。だって，逆に言えば役所勤めみたいなもので，遊んでいても適当でも給料は保証されているのですから。

それでも，普通の弁護士に嫌がられるような事件であればあるほど，最初からスタッフ弁護士に法律相談できれば，受任の確率が上がると言えます。

ただし，法テラスで法律相談を受ける場合，彼らスタッフ弁護士も，他の契約弁護士と同様に名簿順で法律相談の割り当てを受けていることがほとんどだと思いますから，あなたが何も言わなければ，スタッフ弁護士にあたるかどうかは偶然です。

他の契約弁護士に何度も受任を断られてしまった人や，どうしても「法テラス」から弁護士の紹介を受けて安心したい（？）という人は，はじめから法テラスで「スタッフ弁護士を希望します」と伝えると良いでしょう。