事件を本当に担当しているのは、誰か?

個人事務所では、良くも悪くも、その弁護士を信頼できるかどうかがすべてです。

信頼して依頼できれば、その弁護士自身が、あなたの事件のすべてを理解して、進めてくれます。そこが、個人事務所の最大の魅力であり、反面、危険性でもあります。

 

ところが、弁護士が複数(少数でも、二人以上)所属する事務所では、あなたが依頼した事件を本当に担当するのが誰なのか、という大問題があります。

 

え? 相談して依頼した弁護士が担当するんじゃないの?

と思うかもしれませんが、そうとは限りません。

あなたの相談を受けたのがA弁護士でも、実際の仕事は、新人のB弁護士がやっている(やらされている)ことがあるからです。

 

それだと絶対ダメだ、という意味ではありませんので、注意してください。

弁護士は、誰でもそうやってベテランと一緒に仕事をやりながら、厳しい指導を受けつつ、自分なりの方法論を磨いていくのです(少なくとも、ここ最近のように、合格してすぐに独立開業する「ソクドク」弁護士が多数出現するようになる前までは、そうでした)。

 

ただ、ボス弁護士が新人弁護士に仕事を丸投げしてしまい、弁護士間での指導や協議が不十分なことがあります。

これは、ダメです。

 

あなたが頼んだはずのボス弁護士に対して、電話で問い合わせをしたり、打ち合わせで事案の中身について質問をしたりしたときに、その弁護士が全然とんちんかんなことを言うようであれば、危険です。

なお、こういう事務所では、新人弁護士が1年とか2年とかで逃げるようにしてに独立していくので、弁護士がすぐに入れ替わる傾向があります。

 

また、依頼された事件について、「事務所で受任する」(所属弁護士全員が受任し、書面に名前を連ねる)という場合と、「相談を受けた個々の弁護士が受任する」という場合があります。

 

「事務所で受任する」形式について、複数の弁護士がついてくれることを頼もしいと感じて喜ぶ人がいますが、違います。

この場合、事務所の内部的には担当弁護士がはっきりしていて、ほかの弁護士は本当に名前だけです。担当は、事務所から給料をもらっている若手弁護士が引き受けることになるでしょう。

有名な弁護士、有名な法律事務所に依頼したつもりの事件の多くは、この形です。

もちろん、本当に困難な事件では、担当者を複数にしてチームで仕事に当たることもあるでしょう。

 

「個々の弁護士が受任する」形式では、担当者は言うまでもなく相談を受けた弁護士であり、責任の所在がはっきりしています。

その代わり、大型事務所で依頼していても、受任した弁護士以外は事件と全く関係ありません。

 

また、事務所として受任するのではないが、「事務所に所属する複数の弁護士が共同で受任する」ということもあります。

この場合は、共同受任した弁護士全員が担当になり、担当弁護士同士で役割分担を打ち合わせます。誰か一人が仕事や責任を押しつけられるということはないのが普通です。

 

本当のところ、事務所で受任する場合と何がどう違うのかというと、この場合の各担当弁護士は、事務所から給料をもらっているのではなく、当該事件で依頼者から受け取る弁護士費用を折半していることが多いのです。だから、仕事も実際に折半して協力しあうのです。

 

このような受任の仕方は、給料制でない弁護士が複数所属する大型事務所で行われるのが普通ですが、別の事務所の親しい弁護士同士で、協力してこのような受任の仕方をすることも、まれにあります。

本当の意味で複数の弁護士が平等に協力して事件を担当するわけですから、依頼者にとっては、最も心強い方法かもしれませんね。